「いてもいなくてもいい存在だったら、いない方がましなんじゃないか」
デート援のサイトで知り合った女の子は、冷たいコーヒーをストローでかき回しながらつぶやいた。
こう言うメンヘラが入っているタイプはたまにいる。学校生活や家庭内で何かと上手くいっておらず、捨て鉢気味に援助交際に走るタイプだ。
見ると意味ありげにリストバンドなどをしている。とってみればリスカの跡だらけ・・・なんてことはない。思わせぶりな態度をとることで構ってほしいのだと思う。
メンヘラタイプが難しいのは、どこに感情のスイッチがあるかわからないところだ。躁鬱が入っていたりするので妙なところで不機嫌になったりハイテンションになったりする。
彼女とはこれで3回目のデート援だ。まあ、デート援などと言うものは男が楽しむものであって、女の子の方はお小遣い稼ぎにしか過ぎない。
それでも、やっぱりお金もらって商売しているという自覚があるのか、本当のガールフレンドのように振舞ってくれるかわいい子もいるにはいる。
ただ、彼女はそうではない。少なくとも商売意識がある子は、デート援相手の前で死生観を語ったりはしない。
いてもいなくてもいい存在って誰が決めたの?と、僕は彼女に水を向けた。
「そんなの自分で分かってるよ」と彼女は言った。
愛人契約
さて、ここからだ。こういうタイプは肯定してはだめだ。不機嫌にはならないが何ら変わらない。否定するのだ。ただし、否定の仕方によっては鬱方向に入っているスイッチを加速させることになる。同意しつつ否定するのだ。僕には彼女のウソリストバンドが「こんな私を助けてほしい」と言っているように見えた。
僕の言葉に、徐々に伏せ気味だった彼女の目に輝きが戻ってくる様が感じられた。いてもいなくてもいい存在なんていないのだ。デート援の相手として、彼女のような存在は僕にとっては必要なのだ。
ちなみに、いてもいなくてもいい存在がいるとすれば、あわよくばこのままうまく彼女の心を溶かしてホテルへ連れ込もうと考えている僕みたいな存在のことを言う。
パコる
パコる